最終更新日:2020年4月15日
緑内障は眼圧の上昇が大きな原因であるため、進行予防には「眼圧をあげない生活」を心掛ける必要があります。緑内障の人が「してはいけないこと」「したほうがよいこと」を具体的にみていきましょう。
緑内障は眼圧の上昇により、視神経がダメージを受け、視野障害が生じる疾患です。緑内障の中でも、日本人は眼圧が正常であるにも関わらず発症する正常眼圧緑内障が多いとされています。いずれにしても、緑内障の進行を抑制するには、眼圧をコントロールすることが重要です。
眼圧は24時間常に変化しており、生活習慣によって左右されることも少なくありません。緑内障によって失われた視野は元に戻すことはできませんが、生活習慣は心掛け次第でいくらでも変えられるものです。眼圧をあげない生活を心掛けることで、まだダメージを受けていない視神経をケアすることが可能となります。
「緑内障から目を守る」編集部は緑内障患者100人へアンケートを実施。直近1年間の眼圧が維持・低下した人が81人。そのうち約6割の人が食生活の改善を行っていることが分かりました。
視野欠損がみられず、進行を抑制している人の対策を見ても、同様に食生活の改善に取り組んだ人が最も多い結果でした。
(※2020年3月に株式会社アスマークにてインターネット調査)
緑内障の進行を悪化させると言われる事項が、それぞれどんな仕組みで目の機能へ影響をもたらすか解説します。
喫煙は、健康によくない生活習慣の代表格ともいえるものですが、緑内障に対しても同じです。
タバコにはたくさんの有害化学物質が含まれており、その中でも特にニコチンは血管収縮作用が強く、全身の血流を悪くして健康に害を及ぼします。目の血流が悪くなると、眼圧が上昇するため、緑内障の悪化につながってしまうのです。
今や生活必需品となりつつあるスマホ。大変便利なツールなのですが、スマホから発せられるブルーライトは群を抜いて多く、目への負担がとても大きいことがわかっています。スマホの長時間利用や暗い場所での利用は眼精疲労を招きやすく、緑内障を悪化させるリスクがあるため、注意が必要です。
スマホほどではありませんが、パソコンからも目に負担のかかるブルーライトが発せられており、利用の仕方によっては眼精疲労を招き、緑内障によくないことの1つになります。
目への負担を軽減させるには、パソコンを利用する際の環境(モニター環境や姿勢など)を適切に整えることが重要です。
眼圧は姿勢によって変化します。一般的に眼球が下向きになっていると、眼圧が上昇しやすいようです。
眼球が下向きになる状態とは、うつむき姿勢やうつ伏せ寝などが挙げられます。絶対にしてはいけないことではありませんが、日常的にこのような姿勢をとることが多い人は、眼圧の上昇を抑える意識をもち、姿勢に気を付ける必要があります。
注意が必要なのは起床時の行動だけでなく、寝る姿勢も同様です。
緑内障の人が薬を服用する場合は、禁忌の薬がいくつかあるため、注意が必要です。
風邪薬や睡眠薬、アレルギー薬など、比較的身近な薬の中にも緑内障禁忌となっている薬がありますので、自己判断での服用は緑内障の人がしてはいけないことの1つといえます。どうしても薬の服用が必要な場合には、医師や薬剤師に相談した上での服用が望ましいでしょう。
緑内障だからといって、絶対に食べてはいけないという食べ物はありません。大切なのは食べ方です。
基本的には様々な食べ物を組み合わせ、栄養バランスの良い食事を適量食べることが望ましいのですが、目の血流を障害する原因となるような食べ物については、量や食べる頻度を考え、控え目にしたほうがよい場合もあります。
緑内障の悪化にはストレスも関わっているといわれています。ウサギによる実験で、身体的なストレスが眼圧上昇につながることが判明しています。
宮﨑義則『岡山医学会雑誌』111 巻 (1999-2000) 3-8号「ストレスが眼圧に与える影響」
人間も同じく身体的または精神的にストレスがかかると、眼圧に負荷がかかるでしょう。日常生活を送る中で、ストレスフリーな毎日を送るのはなかなか難しいことですが、ストレスをため込まないようにすることはできます。緑内障の悪化を防ぐためにも、自分に合ったストレス発散法を見つけておくとよいかもしれません。
緑内障を悪化させる事柄を避けるだけで満足し、放置するのは止めましょう。進行スピードを緩めるだけでなく、進行を止めるための対策を行うなら、さらに「緑内障に良いこと」を積極的に取り入れてください。
緑内障の進行抑制に効果があると期待されることを紹介します。
目に関わるツボを押したり、目の周りの緊張をほぐしたりすることは、目の血流をよくする効果が期待されるため、緑内障の進行予防や、視神経のケアに良いとされています。
ただし、目の周りは大変デリケートで、特に眼球を圧迫するような方法は、眼圧を上昇させるリスクがあるため、緑内障の人は控えたほうがよいでしょう。
目は温めることにより血流が改善され、眼精疲労で消耗した目の筋肉や視神経をケアすることができます。
視神経は一度障害されてしまうと元に戻すことは難しいものですが、緑内障の進行を予防するためには、障害されていない視神経のケアはとても重要です。
目は知らず知らずのうちに酷使してしまいがちですので、意識的に目を休めて温める習慣を取り入れるとよいでしょう。
運動にも種類がありますが、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、全身の血行を良くし、目の血流にも良い影響をもたらすため、緑内障の人におすすめです。
逆に、短距離走やウエイトリフティングなどの無酸素運動は、全身にかかる圧力が高いため、眼圧にも影響してしまうため、緑内障の人が日常的に行う運動としては控えたほうがよいとされています。
緑内障に良い食べ物としておすすめなのは、アサイーをはじめとしたベリー類です。これらの食べ物には、目の粘膜保護や網膜のコンディションを整えるなど、目の健康に働くビタミンが豊富に含まれていますので、視神経のケアにも効果が期待できるとされています。
目の健康に働く栄養成分を積極的に摂ることも、視神経のケア、緑内障の進行予防に効果が期待できるとされています。
目の健康に働く栄養成分として有名なものは、アントシアニンですが、他にもルテインやビタミンB群などの成分があり、それらを上手に摂取することが望ましいようです。
緑内障の進行は、自分では気づきにくいものです。医師の指示に従って定期的に病院へ通いましょう。悪化が見られないからと自己判断で通院をストップしないでください。
緑内障の進行予防、視神経のケアには、眼圧をあげない生活を心掛けることが大切です。
緑内障だからといって、絶対にしてはいけないことというものはありません。日常の生活習慣を見直し、良くないものは控え、良いものは取り入れ、自分なりのセルフケアを習慣化することで、自然と眼圧をあげない生活につながっていきます。
緑内障の進行予防には、眼圧のみを意識するのではなく、障害を受けていない視神経をいかにケアするかを意識することも必要です。
まずは、自分の生活習慣を振り返ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。