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レーシックを受けると緑内障になりやすくなる?

最終更新日:2021年2月10日

レーシックは角膜をレーザー光線で削り、角膜の屈折率を変えることで視力を回復する手術のこと。近視や乱視のメガネやコンタクトレンズから解放されたい人にとって、レーシックは魅力的な治療法です。

しかし緑内障などの目の疾患を引き起こすきっかけになるのでは?と心配な方もいるでしょう。こちらのページでは、レーシックと緑内障との関係、レーシックのメリットとデメリットなどを紹介していきます。

レーシックと緑内障の関係

レーシック手術をすることで、将来緑内障になりやすくなるのか、レーシックの影響力を見ていきましょう。

レーシックによって緑内障は発症するか?

レーシックの手術で触れるのは、「角膜実質」と呼ばれる眼の外側の部分です。そのためレーシックを受けたことで房水が詰まったり炎症を引き起こすなどのリスクはなく、緑内障を発症する外的要因にはなりえない、というのが一般的な考えです。

ただしレーシックの手術によって、眼が乾燥しやすくなったり、眼のピントの合わせかたが変わって眼精疲労やストレスがたまることはありえます。レーシックが間接的に緑内障を引き起こす可能性は否定できません。

検査で緑内障が見逃される可能性がある

角膜が薄くなることで、正確な「眼圧測定」をしにくくなります。

緑内障は眼圧の上昇などにより、眼球の奥の視神経が圧迫されて視野障害が起こります。そのため緑内障の検査では、専用の機器を用いて眼圧測定の数値を図りますが、レーシック術を行った人は、本来のものより低い数値が出てしまい、緑内障になっていても見逃される可能性があるのです。

日本人は緑内障になる人が多く、40代になると約20人にひとりが緑内障になっているという中高年者の代表的疾患です。高度な近視の人ほど緑内障のリスクが高いというデータもあります。緑内障の検査をする際は、レーシックを受けたことがあると必ず医師に申告してください。角膜の厚さの影響を補正する機器を設置している眼科もあります。

緑内障の人はレーシックを受けられる?

緑内障を患っている人でもレーシックを受けることはできるようです。しかし実際は医師側が断るケースがほとんど。その理由はレーシック手術を行うことで、緑内障の症状が悪化してしまうリスクがあるからです。

レーシックの手術の過程で、フラップを作るときに角膜を圧平するのですが、その際に吸引で強い圧力がかかります。その圧力が悪影響を及ぼすというのです。また緑内障の治療用点眼薬は、角膜表面にキズや炎症を起こしやすいというリスクがあります。角膜を少しでもよい状態に保持しておくほうが良い、という理由があります。

ただし、絶対にレーシックが受けられないわけではありません。緑内障の進行が止まって症状が安定している場合であれば、手術を受け入れてくれる医療機関もあるようです。

最近ではフラップを作成しない「PRK(屈折矯正術)」という視力回復施術もあります。緑内障を患っているけれどレーシックを強く望む方は、信頼できる眼科医と医療機関を選んで相談してみましょう。

そもそもレーシックとは?

レーシック(LASIK)とは、角膜の中央部をレーザー光線で削り、角膜のカーブを変える手術のことです。エキシマレーザーと呼ばれるガスレーザー使用し、角膜の屈折率を矯正して近視や乱視の視力回復を行います。こちらでは、基礎的なレーシック手術の内容に触れます。

1時間足らずで終了するレーシック手術

角膜を削る手術というと、大がかりなイメージがありますが、平均的なレーシックの手術時間は両眼で30~40分程度です。手順は次の通りになります。

医療機器によって、角膜を保護するフラップの作り方は異なり、LASIK(レーシック)ではなくLASEK(ラセック)やEPI-LASIK(エピレーシック)と表現することもあります。フラップを作らずにレーザーを照射する手術法(PRK)も登場しています。

レーシックを受けられない人もいる

視力の回復が望めるレーシックですが、次に該当する人たちは手術の対象外となります。

レーシックのメリット

レーシックの大きなメリットは、日常生活を裸眼で送れるようになることです。脱着のわずらわしいメガネやコンタクトレンズから解放されること、面倒な日常のお手入れ、コンタクト装着時の異物感やドライアイ、人によっては長時間の使用によって起こる頭痛や肩こりなどが解消するでしょう。

レーシックのデメリット

レーシックは保険適用外の治療のため、レーシック前後の検査費用を含み全ての医療費は自己負担です。そのため治療費用が高いのが大きなデメリットと言えます。そのほかにも一時的にドライアイの症状になったり、時間の経過とともにレーシック手術以前より視力が悪くなる可能性もあります。

一時的にドライアイになる

フラップを作成することで、角膜の神経が切断されます。それが原因で数カ月から6カ月位の間角膜知覚が低下してドライアイになりやすくなります。通常の場合は、一定期間が過ぎると神経がもとの状態に戻ってドライアイは解消します。

手術後の症状としては、ほかにも光がにじんで見えたり、夜間や暗い場所での視力が低下するように感じることがあるようですが、術後6カ月ほどで改善または解消します。

角膜が変形したり混濁したりする

一度レーザーで削った角膜は戻りません。角膜の切除が大きくて薄くなってしまった角膜が、前方に突起して変形することが稀にあります。またレーザーで削った角膜に混濁が生じる可能性も。

世界的に見てもレーシック手術の安全性は高いものですが、手術である以上は「絶対に安全」とは言い切れません。レーシック手術を受けたために、以前より視力が低下することも稀にあるようです。このようなリスクを減らすためにも、信頼できる眼科医を選んでください。

正確な眼圧測定が難しくなる

眼圧とは、眼の中から外にかかる圧力のことです。通常「眼圧」を測定する場合、空気を当てたり、角膜表面に特殊な器具を当てて圧力を図る「間接法」を用います。間接法は角膜を介して眼圧を計測するので、どうしても角膜の厚みに影響を受けた数値となります。

レーシックを受けたことのある人は、角膜が薄くなっているため本来の値より低く測定されがちです。この眼圧測定は緑内障の診療と深い関わりを持っています。

レーシックの相談や手術は専門医に

レーシックの相談や手術をする際は、必ず眼科専門医にお願いしましょう。眼科専門医とは、眼科外科手術を含んで5~6年以上の臨床研修を経験し、日本眼科学会、日本眼科医会に所属する医師のことです。滅菌や消毒、感染防止の徹底、器具の管理や保守点検などの感染症対策も徹底しています。

※参考:公益社団法人 日本眼科医会|レーシックを受けることをお考えの皆様へ

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